ジョーカプチーノ、2400メートルも飲む…

虎成杏

2009年05月27日 18:23

NHKマイルCの覇者ジョーカプチーノが、昨年のディープスカイに続く“変則2冠制覇”を目指す。最大の特長は、スピードの持続力。父が名ステイヤーのマンハッタンカフェなら、2400メートルにも十分対応できそうだ。パートナーの藤岡康は、デビュー3年目の20歳。若さを武器に、頂点まで突っ走る。

 とてつもない偉業をかけて、ジョーカプチーノが競馬の祭典に挑む。NHKマイルCとの“変則2冠”だけでも大記録だが、この馬は1200メートルのファルコンSも勝っている。距離体系が確立した現代競馬で、スプリント、マイル、クラシックとカテゴリーの違う3重賞を勝つのは至難の業だ。

 それでも、その血統をながめると、奇跡を期待せずにはいられない。父は、名ステイヤーとして一時代を築き、現在はリーディングサイヤーとして君臨するマンハッタンカフェ。母の父は、デビュー3戦目でダービー馬に輝いたフサイチコンコルド。「血統だけ見れば、クラシックディスタンスどころかステイヤー。距離は大丈夫じゃないかな」と中竹調教師は笑顔で言った。

 NHKマイルCは、2番手から抜け出しての勝利。スピードで押すタイプであることは確かだが、東京の2400メートルに対応できる下地はある。「前走は、もうちょっと前を追いかけるかなと思ったけど、折り合ったからね。今回も1コーナーをスムーズに入れば。ストライドが大きいので、東京は合う」と中竹師は言う。のびのび走れるコース。すんなり流れに乗って、スタミナを温存することは可能だ。



 中2週での参戦だが、体調は万全だ。「回復は思ったより早かった。出走を表明した時点(20日)で、疲れは取れていたからね」先週末の23日には、Dウッドチップコースに入り、馬なりで時計を出した。芦毛の馬体はふっくらと丸みを帯び、充実をうかがわせる。

 手綱を執る藤岡康にとっては、史上2番目に速い20歳4か月でのダービー制覇のチャンスだ。「前走は、3コーナーの入り口でハミをかんだが、それ以外は大丈夫だった。今回も折り合いだけでしょう。ダービーですか? 今のところ、全く緊張してません」ひょうひょうとした口調が、大仕事を予感させる。

 藤岡は、NHKマイルC後の勝利インタビューで「今日はカプチーノを飲みたいです」と答えて話題になった3年目の新鋭。人馬ともマイペースを貫けば、歴史に残るダービー馬が誕生するかもしれない。